クロレラの研究報告

研究報告者

白石 魁人1)、膳法 亜沙子2)、藤島 雅基3)、奥村 衣梨3)、大槻 毅2)

1)流通経済大学大学院スポーツ健康科学部、2)流通経済大学スポーツ健康科学部、 

     3)株式会社サン・クロレラ

大学陸上中長距離競技者におけるクロレラ摂取は最大酸素摂取量を増大させるか

(クロレラ・機能性植物研究会 第5回研究集会(2023年、京都)で発表)

【研究目的】

 令和元年度国民健康栄養調査において国民の健康日本21が定める野菜摂取量(350g/日以上)を達成できている者の割合は男性30.1%、女性26.5%であり、特に若年世代ほど達成率が低いことが報告されています1)

 我々はこれまでに、持久性鍛錬を行わない若年男女において1か月間継続的にクロレラ摂取を行うことにより一部の微量栄養素(Fe、ビタミンB2等)を充足させる可能性2)を示し、最大酸素摂取量を増大させることを報告しています2、3)

 しかし、日常的に持久性鍛錬を行う若年者においても同様に最大酸素摂取量の増大を促すかは不明です。そこで2年以上習慣的に持久性鍛錬を行う男女において1か月間クロレラ摂取が最大酸素摂取量を増大させるか検討を行いました。

【試験方法】

 習慣的に持久性鍛錬(週5日、2時間程度、中等強度:60%〜80%HRmax)を行う大学陸上部(中長距離ブロック)に所属する大学生男女8名を対象にクロスオーバーの二重盲検プラセボ対照試験を実施しました。試験食品は4週間のクロレラまたはクロレラを含まないプラセボを6週間以上の間隔を空けて摂取しました。なお、各食品の摂取量は1日30錠(15錠×2回)です。試験食品の摂取期間の前後(計4ポイント)に最大酸素摂取量(自転車エルゴメーターによる漸増負荷運動中の呼気ガス分析)を評価しました。運動負荷は、70W(50W)4分間のウォーミングアップで開始し、2分毎に30W(20W)負荷を増加させました(カッコ内は女子の負荷)。本研究は、Cohenの効果量を算出し、d≧0.8の場合に有意差があるものとしました。

 


【結果】

 ここではドロップアウトおよび介入期間中の体調不良者を除外した4名の結果を示します。クロスオーバーの二重盲検プラセボ対照試験で行った結果、クロレラおよびプラセボの介入前における最大酸素摂取量に差は認められませんでしたが(d=0.14)、2試行の測定前後の変化量を比較したところ、クロレラ摂取による最大酸素摂取量の変化量の方が大きくなることが明らかになりました(プラセボ 5.8 ± 333.9 vs. クロレラ 387.9 ± 169.5;d = 1.44、図参照)。以上のことから、日常的に持久性鍛錬を行う若年者においても4週間のクロレラ摂取が最大酸素摂取量を増大させることが考えられました。

 


最大酸素摂取量の変化量

参考資料・論文

引用1.令和元年度国民健康栄養調査報告(https://www.mhlw.go.jp/content/000711005.pdf 2023年10月1日 閲覧)

引用2.Zempo-Miyaki A et al. J Clin Biochem Nutr 2017;61(2):135-139.

引用3.Umemoto S & Otsuki T. J Clin Biochem Nutr 2014;55(2):143-146.