クロレラ
誕生から変わらない姿の『クロレラ』
生命の多様性と共に生まれ、水中で生活する植物
クロレラは淡水に1つの細胞で生きている緑藻類の総称で『pyrenoidosa(ピレノイドサ)、vulgaris(ブルガリス)、sorokiniana(ソルキニアナ)』等の種で構成されています。地球上に現れたのは5億4千万年前のことで、爆発的に生命の多様性が増えたカンブリア紀のことでした。
顕微鏡で、やっと確認できる大きさ
今から約130年前の1890年に初めてクロレラについて詳しくオランダの 微生物学者 M.W.Beijerrinckが紹介しました。
M.W.Beijerrinckは顕微鏡を使って発見した、丸くて小さな植物をギリシャ 語で"緑"を示す「chloros」とラテン語で"小さな"を示す「ella」を組み合わせ 『chlorella(クロレラ)』と名前を付けました。
太陽のエネルギーを利用して生きる『クロレラ』
植物の性質と食物利用
動物と違い、植物は太陽の光エネルギーを利用して、水と炭酸ガスからグルコースと酸素を作り出す『光合成』という能力を持っています。
クロレラは発見後『光合成』の仕組みを理解するために研究材料として使われていましたが、好ましい環境条件で育ったクロレラの乾燥体に約60%以上のたんぱく質や多種のビタミンが含まれることが理解され食物への利用が検討されています。
当時の研究者が『クロレラの食糧利用』に注目した2つの理由
我々が食べている野菜は『植物の実、葉、根』の一部です。これらの部分は植物が生きていく上で、そして種を残していくために必要な栄養素が蓄えられています。しかし、これらの栄養素の合計は植物全体の重量の半分以下である場合がほとんどです。植物が水分を多く含むことも理由にありますが、自身を固定し土壌から栄養素と水分を吸収するための『根』太陽の光を効率よく利用するための『葉』そして葉や実を固定するための『茎』などの食べるのに適さない構造体を持つことも上げられます。また、そのことから面積当たりの収穫量にも限界があります。
しかし、クロレラの構造体は細胞壁のみであるため栄養素の効率的な利用と適度な気温、太陽の光と水と栄養素があれば面積当たりの収穫量が高く、『危惧されていた爆発的な人口増加に対する食物不足の解消』がクロレラに期待されました。
依然、食糧不足の問題も存在しますが、世界的にDouble Burden Malnutrition(DBM:栄養障害の二重負荷)と呼ばれる『同じ国に、同じ地域に、同じ家族に、さらに同じ人物に過剰栄養と低栄養が混在している状況』が生れています。また、食物の含有成分の質と量のみならず、摂取方法の違いにより生体への作用が異なることが議論され始めています。現在、多様な栄養素・成分を含むクロレラによりこれら諸問題の解決が期待されています。
小さくても、成分の質が整った『クロレラ』
小さいから丸ごと食べることができる
クロレラは我々の体を流れる赤血球よりも小さい2-10μmのほぼ球形で、 葉緑素を多く含むので緑色に見えます。一般的にクロレラは乾燥しタブレット などの形状で利用されています。その成分の質を確認すると、100g当たり たんばく質が約60g含まれていること、各種ミネラル、ルテイン、葉酸、B6、 B12、カロテンなどのビタミン類も含まれていることが確認できます。
そして、他の食物との最大の違いに『小さいので生命を丸ごと食べる』ことが上げられます。生き物は必要な成分を外部から取り入れ、必要な場所へ届ける仕組みを持っています。例えば、ビタミンAに変換されるカロテンやビタミンB12などの栄養素は吸収機構が満たされていると必要以上に体内へ取り入れられないことが知られています。1つの細胞で生きているクロレラは生命を維持するために必要な成分の量と共に質が整っていると考えられ、生き物にとって必要な成分を効率よく供給できると考えられています。
体内で働く健康成分を持っている『クロレラ』
取り入れた成分は体内で働くことが報告されています
クロレラは、多くの栄養素や健康成分を含んでいますが、残念ながらその全貌は明らかにはなっていないのが現状です。また、近年『成分が体内で本当に利用されているか』ということが議論になっていますが、少しずつ確認されている成分のうち、ルテインなどの健康成分について体内での利用状況や効能が明らかになってきています。
もちろん、クロレラは多くの成分を含むので単一の成分のみによる効能であるとは断言できません。